束草・江陵に行くなら立ち寄るべき、「襄陽(ヤンヤン)」の逸品グルメ!
 吉村剛史(トム・ハングル)
 2017/06/28 改:2019/08/14 

韓国・江原道のなかで、多くの観光客が訪れる人気都市といえば、どこの名前を挙げるでしょうか?ドラマ・四季シリーズのロケ地で有名になった春川や束草、あるいは平昌五輪の開かれる平昌や江陵あたりではないかと思います。

束草(ソクチョ)や江陵(カンヌン)に訪れるため、東海岸まで足を運ぶ日本人観光客は少なくありませんが、意外と忘れられて素通りしてしまう(?)のが襄陽(ヤンヤン)というまち。


[襄陽の景勝地、洛山寺]

そんな襄陽(ヤンヤン)は、束草と江陵のあいだに位置し、その2つの都市を行き来するとき、バスが立ち寄るのです。

※襄陽には国際空港があり、2017年6月現在、釜山(金海空港)との定期便、北九州へのチャーター便が出ています。参考:噂の’幽霊空港’、韓国・襄陽空港から釜山へ行ってみた!

●束草-江陵のアクセスは!?
ソウルから東海岸までは、高速バスで最短2時間ほど。束草-江陵間の移動は、それぞれのバスターミナルから市外バスを利用します。束草から江陵までは約1時間20分です。

そして束草と江陵のあいだにある襄陽までのバスでの所要時間は、束草-襄陽は約30分、襄陽-江陵は約1時間となっています。


[束草・襄陽・江陵の位置(目安)]

海に沿った国道を走りますが、海を望むことができたり、隠れてしまったり。しかし、晴れた日の車窓からは、白砂浜の海岸と、青々として美しい海の景色が広がります。

●松茸鍋(ソンイ・チョンゴル、송이전골)
襄陽で最も有名な食材といえば、マツタケ。マツタケは韓国語で「송이(ソンイ)」。キノコの意味の「버섯(ポソッ)」をつけて、「송이버섯(ソンイポソッ)」とも呼んだりもします。

マツタケは温度など生育条件が整った場所でしか採れない高級食材としておなじみですが、韓国ではこの江原道・襄陽(ヤンヤン)や、慶尚北道の奉化(ポンファ)などが有名です。

ある日、食通の先輩に連れ出され、ソウルから束草を抜けて襄陽へ。そこでご馳走になったのが、松茸料理でした。襄陽バスターミナルから、橋を渡り、徒歩約10分の「송이골(ソンイゴル)」というお店へ。


[松茸がたっぷり入った鍋]

そのときご馳走になったのがソンイ・チョンゴル(松茸鍋、송이전골)。上品な香りのある高価な食材は、たとえ少量でも十分に愉しめるとも思うのですが、やはりここは韓国。松茸もたっぷり入っているのです。金額も少しお高めで70,000ウォン(約7,000円、2人分)。

おかずにはケジャンや生牡蠣といった、他の地域で獲れたであろう海の幸も含まれていますが、江原道だけにメミルジョン(蕎麦チヂミ)も入っています。

このお店には松茸プルコギや、松茸の塩焼きなどもあります。いずれも少々値が張りますが、ここまで来たら、食してみたいもの。雰囲気や香りだけでも味わいたい方は、松茸ご飯12,000ウォン(1人分)が手ごろです。

●薬水釜飯(약수돌솥밥、ヤクストルソッパプ)
襄陽(ヤンヤン)でもうひとつ感動的だったのは、五色薬水(오색약수、オセンヤクス)で食べた釜飯。襄陽バスターミナルから、農漁村バスに乗り、山道を進むこと約20キロ。およそ約50分のところにあるのが五色(オセク)という場所。標高は650mほど。

薬水(ヤクス、약수)は韓国語で「湧水」を意味します。このあたりでは鉄分を含んだ炭酸水が湧き出ており、温泉地でもあります。食堂のほか土産物店が並んでおり、山あいの温泉街ともいえる情緒的な雰囲気すら感じられる場所なのです。


[薬水トルソッパプ定食、18,000ウォン(約1,800円、1人分、2人前から注文可)]

ここで食べたのは、「薬水」で炊いた釜飯。釜のご飯は黄色味を帯びて、サフランで炊いたかのような色をしていますが、口に含んだ瞬間「シュワー」っと口のなかに広がるのです。

中央にはシイタケやワラビなどの山菜が並び、山間部などでよく食べられるツルニンジン焼き、そして江原道だけにスケソウダラを干した「ファンテ(황태)」を焼いたファンテグイなどがおかずとして並びます。


[薬水で炊いたご飯]

山の食材がたっぷりの定食ですが、メインはやはりご飯。このご飯の不思議な食感は、ここまではるばると訪れた人だけが味わえるので、もしチャンスがあれば、ぜひとも訪れてほしいと思います。

●水刺身(물회、ムルフェ)
襄陽のみならず、韓国東海岸の名物料理として知られているのが「ムルフェ(水膾、물회)」。刺身や刻んだ野菜に、コチュジャンや酢、薬味を溶いた水をかけて食べる刺身の冷製スープ。

イカやカレイなど、旬の魚介類が使われます。冷や汁はコチュジャンの色で赤く染まっているとはいえ、それほど辛くはなく、ひんやりとした感覚が先立ちます。シコシコした白身魚の食感が上品に感じられるのです。


[ムルフェ(水膾)、10,000ウォン(約1,000円)]

このムルフェは河趙台(ハジョデ)海水浴場付近のお店で食べたもの。このお店では素麺も出てきて、冷製スープのなかに入れてすすります。春だったこともあり、ムルフェの刺身はイカではなく、メナダとカレイでした。

ちなみに襄陽は、東海岸の国道沿いをわたしが勝手に命名した「刺身街道」に位置します。

●江原道の食の素朴さを覆す、襄陽のグルメ

江原道の食材は蕎麦やジャガイモ、山菜などを使った素朴な料理が多いのですが、このような襄陽(ヤンヤン)の名物料理を見ると、そのイメージを覆してしまうほど特徴的に感じられるのではないでしょうか。

束草や江陵は観光客にも人気の都市ですが、食いしん坊な方はぜひ南北に足を延ばし、襄陽で豪快に味わって頂ければと思うのです。

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P.S.マツタケをご馳走してくれた先輩は、「気にしないでいいから、後輩に奢ってあげてね」と、カッコいい一言。

それから数年がたち、わたしもすでに30歳に。30歳はまだおごってもらえる年齢?いや、そろそろ奢るべき年齢だろう。いずれにせよ、高価なマツタケはまだ勘弁してほしい(笑)

※この記事は韓国・江原道公式ブログに掲載されたものです。(2017/6)


 

記事に関連する韓国観光エリア情報はこちら:江原道襄陽



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