韓国の銭湯(沐浴湯)に行ってみよう!
 吉村剛史(トム・ハングル)
 2013/12/08 改:2013/12/08 

現在日本にいる私は、日々パソコンを使って仕事をしています。さらにあいた時間にはブログを書いているため、肩がもうパンパン。肩の凝りをほぐすために運動だけでなく、家を出て銭湯に行きたくなるのです。

さて、みなさんは韓国で銭湯に行かれたことがあるでしょうか?最近、旅行ではほとんどの方がチムジルバンを利用されると思うので、あまり利用する機会がないのでは、と思います。

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韓国では銭湯が「沐浴湯(モギョクタン)」と呼ばれています。基本的にはチムジルバンのような、くつろげるスペースや汗蒸幕がない施設、つまり、浴場とサウナだけがあるような施設です。

日本の銭湯のように、壁に富士山の絵が描かれているわけでもないので。とくに風情や情緒があるわけでもなく、チムジルバンの大浴場と同じです。

●韓国の銭湯は手ぶらでOK!

東京の銭湯は2013年現在、450円。韓国は場所によってまちまちですが、大体5,000ウォンです。ほぼ同じ値段なので、感覚的には韓国のほうが高いのかもしれません。

でも韓国の沐浴湯は体を洗うタオルと、体を拭くタオルが浴場内に置いてあって、石鹸まで用意されています。だから何も準備しなくとも、お風呂に入れるというわけです。

●以前は他人の背中を流すことも。

数年前に読んだ本にこんなことが書いてありました。本のタイトルももう思い出せないのですが、おそらく90年代以前に留学された方の体験記なのでしょう。

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沐浴湯に行って体を洗っているときに、
となりのおじさんがタオルを突然差し出してきました。

その日本人留学生は、なんだかよく理解ができなかったのですが、
おじさんがタオルを貸してくれたものだと勘違いしたのです。

でも実は、そのおじさんは背中を流してほしかったから
タオルを渡したのです。
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今はこのような光景がおじいさん世代の間でも
あまり見られなくなりましたが、一昔前までは当たり前に、
近くにいる人に背中を流すことをお願いしていたそうです。

●私はチムジルバンで・・・。

私もそんな経験を一度したことがありました。昨年のことです。チムジルバンに備え付けのタオルで体を洗っていたら、となりで体を洗っていたおじさんが、背中流してくれないか?とタオルを差し出してきました。私は以前本で読んだことがあったので、その意味がすぐ理解できました。

そのおじさんの背中を小さなあかすりタオルでごしごしとこすってあげました。おじさんの背中を流してあげた後、私がチムジルバンの備え付けのタオルで体を洗っていると、

「そんなタオルじゃだめだよ~」

といって、おじさんが持っていたあかすりタオルで、私のせなかをごしごしとこすってくれました。

●時代は変わったけれども

韓国もだんだんと個人化が進んだのか、他人の背中を流す光景をほとんど見る機会はありません。日本でいうならば、「失われた昭和の風景」なのでしょうか。そういった裸の付き合いも、情緒が感じられる一コマなのですが・・・。

韓国に旅行に訪れたとき、たまには都会のチムジルバンではなく田舎や住宅街の沐浴湯に行くともっと日常的な韓国の姿が見えてくることでしょう。

<トム・ハングル、韓国の銭湯ワンポイント>

・突然タオルを渡されたら、背中を流してあげましょう。
・韓国の沐浴湯、チムジルバンは手ぶらで行けます。
・沐浴湯のほかチムジルバンやスパ、温泉、海辺には海水温泉があります。
・韓国ではお風呂場では前を隠しません。女性はどうなのですか?

~沐浴湯(モギョクタン)の関連書籍~

日本と韓国の沐浴、入浴についての比較文化や、汗蒸幕の歴史、釜山・東莱温泉の歴史などが書かれている本です。韓国人はなぜ前を隠さないか、ということにも触れられています。私も2年前くらいに買いました。韓国の図書館では韓国語版も見かけました。


韓国温泉物語―日朝沐浴文化の交流をたどって
(竹国友康著 岩波書店 2940円)




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