江原道(カンウォンド)海沿いの「刺身街道」を行く!~韓国の東海岸
 吉村剛史(トム・ハングル)
 2017/03/22 改:2017/10/24 

江原道・東海岸に面しているのは、高城郡、束草市、襄陽郡、江陵市、東海市、三陟市の6市郡。これらの地域をつなぐのが「7番国道」の存在です。

●江原道東海岸を南北に走る「刺身街道」

7番国道は本来、北は中国国境付近の咸鏡北道から、南は釜山まで、東海岸に沿って走る約1,200キロの道路。現在の大韓民国統治下では、軍事境界線に接した高城(コソン)から、江原道の海沿い6市郡や、浦項や蔚山を経由し、釜山までの数百キロにわたって続きます。

江原道の7番国道に沿いに続く、約240キロの道は「浪漫街道(낭만가도)」ともよばれています。


[浪漫街道-緑線、7番国道-赤点線(白反転が東海岸の6都市)]

この街道沿いには「関東八景」の景勝地が点在。韓国焼酎「鏡月」の由来となった江陵・鏡浦や、日の出の名所・正東津などがあります。


[江陵・鏡浦台から望む鏡浦湖]

私はこの「浪漫街道」や「7番国道」のことをひそかに「刺身街道」と呼んでいます。時折みられる海の景色、そして近くの観光地で立ち止まりながら、お刺身や海の幸を堪能する旅を、ここで提唱したいと思います。

この道からそれて進んでも構いません。バスに乗ったり、鉄道に乗ったりして、海を眺めつつ、東海岸の6市郡を北から南、南から北へと旅していただきたいのです。参考記事:韓国東海岸の「刺身街道・刺身ロード構想」

●刺身街道、旅のポイントをピックアップ
この記事でそのすべてを語りつくすことはできないため、詳細は何かの機会にお話することとしましょう。私が旅したなかでも「ピン」ときた観光地と、美味しかったお刺身をピックアップしてお伝えします。

●高城・花津浦(ファジンポ)
江原道は朝鮮戦争後、南北に分断。軍事境界線以南では最北に位置するのが、高城(コソン)です。束草ターミナルから北に約30キロ、バスで1時間弱のところにある、入り江の湖が花津浦(ファジンポ)。


[花津浦]

花津浦の湖のほとりはかつての別荘地。朝鮮戦争前に建てられた故・金日成国家主席と、故・李承晩大統領の別荘がここにあります。見学ができるため、南北事情に興味がある方はぜひともご注目を。


[花津浦の城(金日成別荘)]

花津浦は畏怖を感じらせるほどの静けさが印象的な湖畔。そして海水浴場があり、宿泊施設があります。秘境が好きな方にはその自然の美しさを感じることができるでしょう。


[金日成別荘から見た花津浦海水浴場]

●江陵中央市場・初春に食べた刺身と包み野菜
昨年の初春、江原道の海沿いを旅したとき、江陵中央市場の地下刺身店を訪れました。韓国の刺身といえば、「一匹を丸ごと大皿で」というイメージですが、ひとり旅では一匹を注文して食べるのはちょっと大変。

そんなところで、「このお魚はどう?」と言われたのが、韓国語で「ミルチ(밀치)」という魚。日本語では「メナダ」。初春にかけて旬を迎えます。お店で食べて一匹15,000ウォン(約1,500円)。白身魚のようにシコシコとした触感。


[メナダの刺身と、白菜の一種ポムトン]

わさび醤油もしくは酢コチュジャンにつけて食べますが、包み野菜として出てきたのが白菜の一種、ポムトン(봄동)。ポムトンもやはりこの時期に旬を迎え、若々しい緑色の葉が、春を感じさせます。

●東海・墨湖港で食べたムルフェ
東海(トンヘ)市の墨湖(ムッコ)港。港を訪れると、電球を纏ったイカ漁船が停泊しており、水揚げされた活魚を売る小さな市が開かれています。

その墨湖港を一望できるスポットが墨湖灯台。ドラマ『華麗なる遺産』のロケ地にもなっており、ファン(イ・スンギ)と、ウンソン(ハン・ヒョジュ)がキスをした吊り橋があります。


[写真右・吊り橋と上に見える灯台]

港の刺身店で食べたのはムルフェ(水膾、물회)。簡単にいうと刺身の冷製スープです。ムルフェは韓国の東海岸の名物、この記事でいうならば「7番国道の名物」といえるでしょう。酢コチュジャンなどを溶かした冷たい汁(氷)を、切り刻んだ野菜や刺身にかけて食べます。


[ニシンとメナダが入ったムルフェ]

なかでも江原道の「刺身街道」沿いでは、イカやカレイ、メナダをムルフェの食材として使うのが一般的なのですが、この墨湖港のあたりではニシン(韓国語ではチョンオ、청어)も入っています。

上の写真がニシンとメナダがたっぷり入ったムルフェ。壷(ハンアリ)のかたちの器に入っており、このお店ではハンアリ・ムルフェとして提供されています。15,000ウォン(約1,500円)。新鮮な刺身をほどよい酸味と辛さで、ヒンヤリさっぱりと味わえます。

今回のブログでは「刺身街道」沿いの特筆すべき場所と、刺身に絞ってお伝えしましたが、他にもまだまだ魅力はあります。とにかく「江原道の東海岸6市郡を、南北に旅してみること」をこの場で強く推しておきたいと思います。

※この記事は韓国・江原道公式ブログに寄稿したものです。(2017/3/24公開)




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