河東(ハドン)のたっぷりシジミ汁
 吉村剛史(トム・ハングル)
 2014/07/06 改:2016/12/14 

全羅南道との県境に位置する慶尚南道・河東(ハドン)。韓国の名峰・智異山のふもとで、お茶の産地としても有名な地域。河東バスターミナルもしくはKORAIL河東駅にたどりつくと、わりと低い山々に囲まれて緑豊かで癒されるような雰囲気です。

「山あいの里」と表現するのがふさわしいでしょうか。 釜山方面から光州方面へと、南海(ナメ)の海岸線とは離れていながらも並行して走るKORAIL慶全線。河東(ハドン)郡内は、釜山から全羅南道の木浦方面へともつながる国道2号線も線路のそばを走っています。

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列車に揺られてゆっくり旅を楽しむと釜山からは約4時間近くかかりますが、高速バスでは、約2時間20分です。韓国の田舎探訪、ヒーリングの旅がしたい方は少し足を伸ばしてみてください。

そんな河東の名物は「チェジョプクク(채접국)」といわれる、シジミ汁。シジミは慶南道と全羅道をわけるようにして、ゆったり流れる蟾津江(ソムジンガン)で捕れる名物です。

蟾津江(ソムジンガン)は韓国五大河川のひとつでもあり、全羅北道から南海と注ぐ大河。海水と淡水が混ざりあうところでシジミ漁をするそうです。

ソムジンガンの風景(光陽市側から)

実際にバスターミナルの軽食堂をのぞいてみると「チェジョプクク(채접국)」という、張り紙がされていたりして名物なんだな、ということを実感できるのです。 なんといっても韓国らしく「豪快さ」が魅力のしじみ汁。

「ひとつやふたつじゃ、シジミ汁とはいわせねぇ!」と言わんばかり、スープのなかにはどっさり、たっぷりのシジミ。スプーンで掬い上げてみると、ほらこんなに。小ぶりながらも貝づくし、ひとつひとつをじっくり味わう余裕なんてありません。

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そしてスープ。シジミのダシがたっぷり出ているのか、白く濁っています。スープはもちろんあっさり。ほどよい塩加減です。マイナスイオンたっぷりの、おいしい空気のなかで、シジミ汁を食べるからまた美味しい。ここまではるばる、やってきた人の特権です。

シジミにはオルニチンが含まれていて、二日酔いに良いとされています。お酒を飲んだ翌朝の酔い醒ましスープ(ヘジャンクク)として食べるそうです。

「シジミが肝臓によい」というのは昔の人の知恵からうまれたものなのでしょうか、日本でもオルニチンのサプリメントを見たことがある方もいらっしゃるはずです。

そして体を温めてくれるのはニラ。シジミは体を冷やす食べものだそうですが、それに相性がよいそうです。パラパラとかけられている程度に入っているものもありますが、これまた豪快に、シジミが見えないほどたっぷり入っているものもあります。

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シジミ定食を注文すると、おかず(パンチャン)もたっぷり。「食の全羅道」との境にあるせいか、基本パンチャンもたっぷり出てきます。

河東の花開市場で食べたのですが、お店では定食が8,000ウォンほど。様々な山菜や漬物、どんぐりのデンプンを固めたトトリムクなどが出てきます。マッコリもいっしょに注文すればさらに贅沢な気分に。

シジミの刺身とは!?

私は河東(ハドン)には何度か訪れたのですが、シジミをスープにするだけでなく、和え物にして食べるものにも出会ったことがあります。これは「チェジョプフェムチム(채접회무침)」とよばれています。

フェ(회)は「刺身」の意味ですが、さすがに生食はしないようで、茹でたものをヤンニョム(合わせ調味料)でピリ辛く味付けをして、野菜と混ぜ合わせて食べます。

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お店ですとチェジョプフェ(채접회)として食べるのはもちろんのこと、これをごはんの上にかけてトッパプとして出してくれる店もあります。付け合せではやはりシジミ汁が出てきます。私が食べたお店ではサラダのように野菜がのせられていました。

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河東(ハドン)バスターミナルから、河東の名所である花開市場(ファゲジャント)や双渓寺(サンゲサ)にいく方面のバスに乗ると、蟾津江の支流にあたる清流が山のあいだを流れています。とくに夏は涼しげで癒される雰囲気。そんなところで食べると美味しさがさらにアップするシジミ汁です。

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慶尚南道・河東の地図

<河東へのアクセス>
釜山西部バスターミナルから高速バスで約2時間20分所要
ソウル南部ターミナルから市外バスで約4時間30分所要

トム・ハングルの韓国旅行ひとこと
・晋州・河東・順天などを通る慶全線は1日5~6本しか走っていない穴場感があります。
・木浦、光州、順天、晋州、統営など、全羅道、慶尚道をまたぐ旅もおすすめです。
・釜山・南浦洞にある「ソムジンガン」という名店でもシジミ汁を食べることはできます。




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